インドに聖杯は転がっていない。自分探しの行きつく先とは
人はなぜSNSでアピールしたがるのでしょうか?
最近話題のキーワードであるインスタ映え。
メディアでは耳にタコができるほど連呼されています。
Facebookが落ち目になってきた頃、世間では若者はSNSに疲れ始めたなどと言われた時期もありましたが、サービスの流行り廃りこそあれどいまだにSNSは活気があります。
なぜSNSはこんなにも若者の心を掴むのでしょうか?
同質性の高い集団とアイデンティティ
大半の人が小学校、中学校、高校という12年間に渡る同じレールを進み、人生設計がされていきます。
つまり、高校、大学くらいまでは同年代を見渡すとほとんど同じような人生を歩んでいるというわけです。
同質性の高い集団に属する人間はアイデンティティを確立することが難しい。
いわゆる量産型の学生をやって、どこにでもいる冴えないサラリーマンとして人生を終えることに不安を抱いたことは誰にでもあるのではないでしょうか。
若者のSNS人気の秘訣はSNSが最も手軽な自己実現ツールということです。
何者にもなれずに不安を抱く自分をSNSで着飾ることで、なんとなく自分とはどういう人間なのかが形作られることに若者はアイデンティティを感じるのだと思います。
自分探しの旅と聖杯
自分探しの旅と称して、留学や海外放浪を行う大学生は非常に多いです。
自分探しの旅の定番と言えば、インド旅行が有名ですね。
彼らはなんのためにインドに行くのでしょうか?
自分探しとはなんなのか?インドには求めていた何かがあるのでしょうか?
残念ながら彼らが求める聖杯はインドに行っても見つからないでしょう。
せいぜい価値観が変わったと言って、インド旅行の良さを友人に語り、自分の価値が上がったと錯覚するだけです。
もしインドに行って価値観が変わったと言う人が身近にいれば、具体的に何が変わったのかを聞いてみてください。
具体的な内容を答えてくれる人はいないでしょう。
同質社会に疲れた若者と多様化した価値観
昔は多くの若手社員が出世して、給料を上げることを目標としていました。
いい車に乗って、高級時計を買って、いい女と結婚して、マイホームを買うという画一的なステータスが存在したからです。
同質社会がステータスを強要して、みんながみんな同じベクトルの価値観を持っていた時代です。
今はどうでしょうか?適度に働き、給料もそこそこまで上がれば、それ以上は望まないという社員は多いですよね。むしろ管理職は給料以上に苦労のイメージが先行して、敬遠されることも多いです。
偉くなり、富と名声を手に入れることが必ずしも幸せというわけではないという思想をもつ若い世代が増えてきたのです。
ミニマリストや田舎に移住するなど様々なライフスタイルが生まれ、結婚を「しない」という選択肢も世間一般的に受け入れられるようになりました。
マイルドヤンキーの幸せ
マイルドヤンキーとは地元を愛し、地元で就職し、地元で結婚をした若者のことです。
収入は低いが地元の友人ネットワークが強く、友人や家族に囲まれて過ごしているため、富も名声もないが幸福度は決して低くないと言われています。
大企業のように深夜残業、責任、転勤に悩まされる人生よりも、友人や家族に囲まれ、そこそこに働くマイルドヤンキーの生活は今の若者が望む生活そのものかもしれません。
多様化した自己実現方法
同質社会に疲れた若者は成功を目指すことにも疲れたのでしょうか?
そういうわけではありません。自己実現の方法が多様化しただけです。
ブログ、Youtuber、絵師、歌い手、ラノベ作家など自己実現の場が格段に増えたのです。
若者は会社からインターネット上に自己実現の舞台を変え、各々が得意とする表現方法で成功を目指していることには変わりありません。
ゆとり世代、さとり世代は物欲、消費欲は下がったのかもしれませんが、決して無気力になったわけではないのです。